2022年1月2日午後8時過ぎ、福島県郡山市の交差点で乗用車と軽乗用車が衝突し、軽乗用車が炎上する事故が起きました。
その後、軽乗用車に乗っていた4人が遺体で見つかりました。
この事故は「コリジョンコース現象」が原因ではないかと注目されています。
コリジョンコース現象とは一体どういう現象なのでしょう?
事故の概要と、コリジョンコース現象について詳しく見ていきましょう。
目次
郡山市車衝突死傷事故の概要
2022年1月2日午後8時過ぎ、福島県郡山市大平町の市道十字路交差点で、乗用車と軽乗用車が出合い頭に衝突しました。
軽自動車は衝突の衝撃で横転し、その後炎上しました。
乗用車が軽自動車の左後方側面に衝突したため、軽自動車のガソリンが漏れて引火したものと見られています。
その後、乗っていた4人は遺体で発見されました。
軽自動車に乗っていたのは、郡山市内に住む40代の夫婦と、20代と10代の子供2人の家族4人とのことです。
警察は1月4日に乗用車を運転していた福島市の会社員、高橋俊容疑者25歳を過失運転致死の疑いで送検しました。
衝突事故の現場を特定!「郡山市太平町の十字路」
ニュースの映像とGoogleマップから事故現場を特定しました。
こちらの福島県郡山市太平町の十字路が事故現場です。
この地図を見る限りでは、周りに建物がなく見通しが良いように思えます。
では、ストリートビューで見てみましょう。
奥の鉄塔を見ても、ニュースの映像と一致します。
こうやって見てみるとやはり見通しが良さそうです。
一見、事故の起きにくそうな場所ですが、悲惨な事故が起きてしまいました。
次の項目で事故原因を見てみましょう。
衝突事故の原因の1つは「優先側が分かりづらい」
事故の原因はいくつか考えられるようです。
一つずつ見ていきましょう。
まずは、「停止線と優先側が分かりづらい」ということ。
地元の人の話によると、どちらが優先道路なのか地元の人間じゃないと分かりづらいとのことです。
航空写真やストリートビューで見る限り、道幅も同じぐらいで、信号や標識もないため、優先側が非常に分かりづらくなっています。
停止線もかなりかすれているように見えます。
事故は夜に起きたので、さらに見にくくなっていたでしょう。
本来は軽自動車側が走っていた道路が優先道路ですが、乗用車に乗っていた高橋容疑者は自分側が優先と勘違いしていた可能性があります。
コリジョンコース現象とは?コナンでも取り上げられた現象
そして、もう一つの原因が「コリジョンコース現象」と呼ばれるものです。
こちらが今回の事故の大きな原因になっていると考えられています。
こちらの現象、簡単に説明すると、交差する道から自分の車と同じスピードで車が向かってきても、その車は止まって見えるため、直前まで相手の車を認識しづらくなる現象のことを言います。
詳しく説明すると、運転する際に人は、正面を中心視、周囲の様子は周辺視を使って運転していると言います。
物事をはっきり捉える中心視と違って、周辺視では物体をぼんやりと捉えています。
動く物体に対しては敏感に働く周辺視ですが、止まっている物に対する認識度はかなり低くなります。
上記の図の様に、車が同じスピードで近づくと相手の車との角度が変わらず、止まっているように見えます。
つまり、周辺視では車がいることを認識するのは難しくなります。
そのため、コリジョンコース現象で事故を起こした時、運転手の多くは「車が急に現れた」と証言するようです。
実際の映像を見てみましょう。
こちらはJAFがYouTubeに上げている動画です。
1分43秒からコリジョンコース現象について解説しています。
こちらを見てもらうと分かりますが、本当に相手の車を認識するのが難しいです。
今回の事故の様な見晴らしのいい交差点でも油断できないということが、よく分かりますね。
ちなみにこのコリジョンコース現象、かつてコナンでも取り扱われていた現象です。
2009年11月21日に放送された、名探偵コナンFile556「恐怖の交差点」という回で、まさにコリジョンコース現象が取り上げられていました。

引用:名探偵コナン
コナン達が、田んぼのど真ん中にある見晴らしのいい交差点で、衝突事故起こした車を目撃するという話です。
小五郎は「車の運転手がよそ見か居眠りをしていたのでは」と疑うも、運転手は「突然車が現れた」と否定します。
先ほど説明したコリジョンコース現象とまったく同じ状況ですね。
今回の郡山市の衝突事故も現場の様子からして、コリジョンコース現象が原因の可能性が高そうですね。
ちなみにコリジョンコースの意味としては、下記の通りです。
コリジョンコースとは、そのまま進めば衝突(コリジョン)する進路(コース)、つまり「衝突一直線」という意味である。
今回の衝突事故やコリジョンコース現象に対する世間の声は?
今回の事故やコリジョンコース現象に対しての世間の意見はどういったものがあるのでしょうか?
一部ピックアップしてみました。
車のコリジョンコースは北海道で発生することが多い。昔は十勝型事故と呼ばれた。 交差する直線路で似たような速度で接近する単独走行の車同士は、景色の中で同じ位置に見え続けるのでお互いに存在を認識しにくくなる。
この現象、時々言われるが理解に苦しむ。 映像のシーンは何度も経験しているが、相手車と交差点との距離感もあるのだから、接近してきたら、どちらが先に到達するか見極め、微妙なら減速するか停止するものでしょう。
Yahooニュースのコメント欄では、「コリジョンコース現象は実際にあって恐ろしい」という意見と、「コリジョンコース現象なんて本当にあるのか?運転手の不注意じゃないか?」という意見で、まっぷたつに分かれていました。
これはコリジョンコース現象否定派の認識違いだと思います。
コリジョンコース現象を疑問視している人の意見を見ると「車が止まっているように見えても、車がいる以上は減速するのが普通」という意見が多かったです。
これはコリジョンコース現象について勘違いしています。
この現象は「車が止まっているから運転手が安心している」というわけではなく、そもそも周辺視では動いていないように見える車を認識できないということなので、車がいることにすら気づいていないことを指します。
もちろん今回の事故は乗用車側が優先側ではないにも関わらず、一時停止をしていないので、高橋容疑者に事故の責任はあります。
しかし、コリジョンコース現象について懐疑的になっている人は、いつか自分も同じような事故を起こしてしまうかもしれません。
今回の報道は、高橋容疑者を擁護しているわけではなく、コリジョンコース現象について広く知ってもらい類似事故を起こさないようにするという目的もあります。
自分は経験したことがないからと否定するのではなく、よく調べて自分も同じ様な事故を起こさないようにする心構えが大事だと思います。
また新たな情報が入り次第追記・更新していきます。