2022年12月10日、旧統一教会などの宗教団体から被害を受けた人を救う、新たな救済法案と改正消費者契約法が成立しました。
岸田総理は11月25日に今国会内で成立を目指すとし、わずか2週間ほどでのスピード成立した救済法案ですが、小川さゆりさんなど元2世信者からは「救済のハードルが高い」という意見も出ています。
また、この救済法案に反対する政党もありました。
そんな救済法案とは、一体どんな内容なのでしょうか?
詳しい中身と法案に対する意見などを解説していきます。
目次
救済法案とは?正式名称は?内容を解説
2022年12月10日、参院本会議で救済法案が可決されました。
では、救済法案とは一体どんな内容なのでしょうか?
救済法案の正式名称は「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律」です。
かなり長いので、これからも救済法案、もしくは救済新法と呼ばれることになるでしょう。
具体的な内容をかみ砕いて説明すると以下の通りです。
個人(信者)に法人や団体(宗教団体)が寄付させる際、「あなたに霊がついていますよ」などと不安を煽ったりして、寄付が必ず必要だと思いこませ、回避するのが困難にさせる行為を禁止しました。
また、寄付のために借金をさせたり、自宅など財産を処分させるのも禁止になりました。
これに違反した場合は、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金を支払わなければなりません。
さらに、この禁止行為によって寄付をした場合には、本人による取消しが可能になりました。
また、扶養されている配偶者や子供も、寄付者本人に代わって、生活費など返還を求めることも可能に。
寄付を受け取る側の法人、宗教団体に対しては、本人の意思を抑圧してはいけないなどの「配慮義務」も課されました。
この配慮義務に従わない場合は、行政が対象団体に勧告したり、団体名の公表を行えるようになりました。
救済法案の施行は公布から20日後です。
救済法案は施行後の被害が対象になっており、過去の被害に関しては対象外となります。
スピード成立を目指した、この救済法案ですが、まだまだ懸念点なども多いため、今後も検討が重ねられるようです。
救済法案、反対した政党は共産党、れいわ新選組
救済法案は、自民、公明、立憲民主など多くの政党が賛成し、可決しましたが、反対した政党もあります。
反対した政党の意見も見ていきましょう。
まずは共産党。
共産党、田村智子政策委員長は国会で以下の様に述べています。
(世界平和統一家庭連合〈旧統一教会〉の問題を受けた被害者救済新法案について)実効性ある法案になるよう、最後まで努力を尽くすべきだ。それには会期延長しかない。
スピード成立が評価されている、この救済法案ですが、早過ぎた故に内容が熟慮されていないという意見です。
救済法案自体に反対しているわけではなく、このままだと実効性のある法律にならない可能性があるとして、会期延長を求めての反対です。
今現在も不当な寄付を求められて被害を受けている人がいる以上、早く法案ができた方がいいのは当然ですが、それが中身のない法案であれば意味はないです。
早さを取るか、中身を取るか、難しい判断ですね。
素人考えではありますが、一旦法律として作っておいて、今後不備が出る様なら修正していくという方法でいいのではないでしょうか?
次にれいわ新選組の意見を見てみます。
れいわ新選組は今回の救済法案に関して、声明文を出しています。
こちら、全て読んだ上で、分かりやすくまとめてみます。
反対している理由は3つあります。
- 過去の被害者は救済されないということ。
- 救済の対象があまりにも限定的なこと。
- 寄付勧誘の網の対象が幅広過ぎること
3つ目の寄付勧誘の対象の網が幅広過ぎるというのは、今回の法案の対象が旧統一教会に限らず、NPO法人や学校法人、企業など多くの団体が対象になります。
これらも含んでしまうことで、真面目に活動している団体の行動を抑制していまうのではないかという意見ですね。
つまり「穴が多すぎる」というのがれいわ新選組の意見です。
こちらに関しても、前述した通り、一旦法案を作ってから、実際の事例等をみて修正していくしかないのではないでしょうか?
法案の成立が遅れて、被害者が増えることの方が、良くないことのように思います。
れいわ新選組では、どういう風に対処していけばいいのかという考えも声明文に記載しているので、そちらも是非確認してみて下さい。
小川さゆりさんら元2世信者はどう捉えているのか?
2022年12月8日、救済法案が衆議院を通過した際、旧統一教会の元2世信者である小川さゆりさんが記者会見を開きました。
記者会見では、岸田総理に感謝の意を伝え、「短い期間で新法を作ることは、いろんな壁があると思う。奇跡に近い内容だと思う」と涙ながらに話していました。
今回のスピード成立に対し、感謝を述べる一方、大きな課題が残るとも話しています。
1つは小川さゆりさんを含め、過去の被害者に対しては、今回の法案が適用されないこと。
現実問題、過去の被害者を救済するとなると、「どこまで遡るのか」や「どうやって被害を証明するのか」など、難しい問題が多数出てきます。
それでも、こうやって声をあげた人達が救われないのは、理不尽な気もします。
難しい問題ですね。
それともう一つは、今回の法案の大きな柱として、「親の寄付に対して、扶養されている子供が取消し、返還を求めることができる」というものがありますが、これには”子供が未成年の場合は親の同意が必要”という条件がつきます。
そうなった場合、洗脳されている信者である親が同意するとは思えません。
なので、未成年の子供が被害にあってもほとんど取り返すことができないということになってしまいます。
この辺りが、小川さゆりさんやれいわ新選組の懸念するところではあります。
まだまだ議論の余地がある、救済法案。
小川さゆりさんら元信者2世の意見もしっかり取り入れつつ、多くの人が救われる法案になってもらいたいものです。
救済法案成立に対しての世間の声は?
今回の救済法案成立に関して、世間ではどのような声があるのでしょうか?
一部ピックアップしてみました。
旧統一教会の被害者は筆舌に尽くしがたい思いや経験をし、未だに苦悩の淵にいる人々は決して少なくない。
まずはここからがスタートであり、彼ら彼女たち被害者に一筋の光明が差す「高額寄付被害を救済・防止する法案」所謂被害者救済法であって欲しいと心から思う。
多くの苦難を経験した、被害者に救済法案が一筋の光になってほしいという意見です。
本当にそうですね。
まだまだ考えるべき点は多いですが、これを起点に多くの人が救われて欲しいものです。
法案が成立したことは良かったが、やはり配慮義務が不十分だった場合に名前の公表という罰則が弱いと思う。
なぜそこをしっかり詰めなかったのかが課題だ。被害者よりも公明党の肩を持ったと言われても仕方がないだろう。
法案成立は良かったが、不安な点も残るという意見です。
特に「配慮義務」という文言に不安を覚える人が多いようです。
「圧力をかけて寄付をさせる」という行為に対して、禁止ではなく配慮義務としてしまったことで、実行能力に欠けるのではないかと懸念しているという意見が多かったです。
確かにこれでは、宗教団体側に配慮したと思われても仕方ないですね。
2世信者の方の勇気有る行動は、良い事ですが、信者救済も大変に大事ですが、宗教の名を語って多額の献金を集める行為に対して、踏み込んで過去に集めたものを徹底調査し、違法行為で税金逃れをしていた実態を調べる事が先ではないですか。
宗教団体から多額の献金を受けている政党への調査ももっと進まなければならないという意見もありました。
厳密にいえば、今回の件とは別件になりますが、無関係というわけでもありません。
政党と宗教の癒着は当然許されることではないですし、これからもっと追及しないといけないことですね。
いずれにしても、旧統一教会を巡る一連の騒動、救済法案が成立したことで終わりではなく、これからもっと議論・追及されていくべき問題です。
今後の動向にも注視していきましょう。
また新たな情報が入り次第追記・更新していきます。
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